山口美由紀:原点の少女漫画
兄の影響で少年漫画のほうが好きな私が初めて少女漫画にドはまりしたのは山口美由紀作品でした。高校生かその少し手前くらい。奇面組からあと特にこれといって好きな漫画もなく…。父が通勤中に読む4コマ漫画雑誌を主に読んでいたような気もします。初期のほうというのかな、洋風ファンタジーものが大大大好き! ここにないものもたくさん読みましたが、途中から現代モノや和モノが多くなってきて、大人向け少女漫画になってきてからは遠のいてしまっています。
『フィーメンニンは謳う』
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女なんだから少女漫画に興味を持ったほうがいいのかな…。そんな揺れる思いを抱えた思春期。手にとってみたのがこの作品でした。神 で し た … ! 絵もきれいでとても好きです。弱くもあり、強くもある、頑張る女の子! 大好物です。
自分を守るために忘れてしまった辛い記憶、忘れているならそのままでと見守る人、目的のために利用する人、不思議だけど可愛くて暖かい幼女。日々の生活を頑張りすぎてギスギスしたり、きれいな花畑にふと癒やされたり。過去に立ち向かってへこたれて背を向けて、それでもまた立ち上がって。いろんなシーンが思い起こされます。尊い。
『タッジー・マッジー』
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お友達に↑の姉妹版があるよと教えてもらって。こちらも好きでしたが前作が好きすぎて記憶が薄れ気味に…。
気持ちが優しく、隠れるように暮らす魔女ロッテの物語。だったかな。人社会の中で暮らすことの悩みとか、ラストの方では大事件に巻き込まれていたような。
高校の時、男の先輩に半ば無理やり貸して、少女漫画はなぁ…みたいなしぶしぶだったのが返却時に「次巻は!?」ってすごい食いつきだったのはいい思い出です。今度読み直そう♪
『おひさまの世界地図』
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短編の中ではいちばん好きかなぁ。
自然豊かで平和な暮らし。勉強したり動物の世話をしたり、あたたかで優しい世界。おひさまともお話ができるらしい? けれど子どもたちとお世話役の大人が2人しかいなかったり、森の向こうのことを誰も知らなかったり。少しずつほころびていく。隠されていた真実。大切な人を失って、お話してくれないおひさまを見上げるシーンが切ない。
『音匣(オルゴール)ガーデン』
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短編の中では次くらいに好きかなぁ。そして令嬢モノの原点かもしれない。
ハンスが…ハンスぅぅ…(泣) 典型的なわがままお嬢様はただ寂しかったから。そんな彼女を厳しくも優しく支える、自称科学者のおじいちゃん。あらすじ書くのって苦手だ…。時空を越えた優しさと愛に満ちていて何度読んでも感涙します。
『サウスプリンス・ノースプリンセス』
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おちゃらけ王子が少しずつ次の王として目覚めていく様子が、山あり谷ありで面白い。豊かな自然しかない小さな国は、人の心も豊かで毎日が平和に過ぎていった。ところが大国の姫が行儀見習いとしてやってきたところから何だかおかしなことになって…。童話とか絵本に近い雰囲気で、優しいです。ちょこちょこと笑えるところもあって飽きません。
『ドラゴン・ナイト』
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姫、竜、騎士好きにはたまらない1冊。ちょっとサスペンス。地に足のついた田舎娘と、何かを隠している騎士、目先のことしか考えない城の人間達。
ふっくらしてて美人でもない(少女漫画比)ヒロインって、当時に読んだときはけっこう衝撃がありました。主人公の「国境の線は私には見えない」というセリフが好きですー!
『春告小町』
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ちょっとだけ大人向けなかんじがします。団子屋の看板娘お春と長屋に越してきた浪人さんのお話。侍嫌いのお春がだんだん惹かれていって、思いもよらなかった暗くて重い過去に逃げ出しそうになったり、根性見せてみたり。一生懸命なお春の愛情はほかほかしててあたたまります。弟も可愛いー!